「なあんだ?」
その声は悲壮感があり暗かった。しかし甘い色香が漂う。努めて明るく振る舞っていると言っていい。相手を値踏みして、捕まえて離さないという意思が感じられた。
つまり人を惑わせる恐ろしい声だと思う。
「つまらない女どもが入ってきたと思ったら、なあんだ。方っぽうはいい男じゃなあい? いいわよ。パンティだけの恰好で前がもっこりしてるの最高っ」
これが、10年前に自殺をしたという一言主伊千寿(ひとことぬし いちず)さんなのだろう。
目の前に現れたお姉さんは天空から回転しながら舞い降りてくる。徐々に実体化して着地し、ぷりんっとおっぱいやお尻が弾んで強調された。
ちょっと競泳をするには邪魔とも思える豊満な肉付きだ。ゆっくりと見せつけるように舌舐めずりをする。
「それじゃ、ま、がんばれよ。私は読書でもしてっからさ」
「え?」
唯々野さんはそれだけ言ってベンチに腰掛けスマホを弄り始めてしまった。
「ちょ、会長…?」
「邪魔しないでいてくれるのお?」競泳水着姿の一言主さんは僕の前に立ちはだかった。「お言葉に甘えて私はこの男子とよろしくヤらせてもらうわぁ」
ドキリとして後ずさる。まるでライオンに狙われ、袋小路に追い詰められたインパラだ。
「どうして貴方は女装なんかしてるのかしら? あまりいい趣味じゃないよね?」
「これは、、成り行きで後戻りできなく……」僕はちらりと唯々野さんの姿を見るが、こちらを気にしている風ではなかった。「いや、、別に他人の趣味がいい悪いなんてどちらでもいいじゃないですかっ」
うふふと笑いながら長い髪の一言主さんが近づいてくる。不自然で不気味な動きなはずなのにすーっと動くその姿は確かに美人で見惚れてしまうと思う。
「ふうん。でも貴方は立派な男の子なのに。ほらこれ」
指先がふわっと浮いて僕の股間に触れてきた。
「あっ」
ビクッとして思わず背筋が伸びてしまう。
「いやん。若くて敏感ないい反応♡」
さすさす
人差し指と中指の腹でパンティの上から肉棒を擦られた。
「あぐ… あ、…ちょ …ちょっと」
これ… 幽霊(ゴースト)なんだよな? 円頓寺が手篭めにされていた謎の幽霊の正体だ。しかし実体があり妙に生々しい。熱も感じる。まるで生きている女体と変わりがない。
「うふふ。初な反応って可愛い。貴方、まだ童貞なのぉ?」
「…うっ、…ぃえ? ち、ちが、違いますっ」
いや、当たっているのだが、そこは男のプライドとして素直にウンと頷けない事情がある。
「じゃあそういうことにしておいてあげよっか。お姉さんの手ほどきを受けなさいな」
一言主さんは僕の後ろに回り込んですっとパンティをずらしてきた。
「ひっ!?」
ぶりんっ
半勃起したおちんちんが外気に晒される。
「え? えぇ?」
腰が抜けそうなくらいに驚いた。幽霊にパンツを脱がされるなどというレアな経験に僕はビビって竦み上がってしまう。女装のために手に入れたパンティが膝のところで止まって、足を閉じようとすると落ちてしまいそうだ。
にゅと伸びた手で今度は陰茎を掴まれる。
ぎゅっ
「ぁ…」
にぎにぎと幽霊の手の中で弄ばれた。
むく…
むくり…
むくむく…
「うふふ。やっぱり男の子ね。大きくなってきた」
悲しい性なのか、こんなに恐ろしい状況でもシンプルに反応してしまう。
「ぁ… ちょ… と」
「お毛々もきれいにカットしてて、ぜんぜん使い込んでなくて亀頭もピンク色だし。可愛いわねえ」
「ア…ッ」
肉棒の先っちょを人差し指で撫でる。亀頭を直接刺激された。
「や、やめてくださ… ぃ」
一言主さんの手の動きは猫の頭でも撫でるようにゆっくりだ。こんなシコられ方をされても射精まで行き着くことはない。真綿で首を絞めるかのようにじっくりと舐り倒すつもりなのだ。
「く… そ…」
「うふふ。我慢しちゃって。可愛い顔ぉおおぉお」
強く握られているので圧迫感は凄い。でもゆっくりと上下に擦って、射精するほどの快楽など得られない。蛇の生殺しというやつだろう。
「か、会長…」
唯々野さんはこれを僕一人で解決させるつもりなのか。助けを求めてチラ見するが、ぜんぜんこちらに興味がなさそうにしているし。
「くそ…」
僕は円頓寺の二の舞にはなりたくない。少しは期待してくれているのだろうから、自分でなんとかしないと……。
むくむくっ
びーん
「あはは。可愛いわ。あっという間にカッチンカッチンね」
幽霊と言っても相手は10代のまま亡くなった可憐な少女だ。10年前で時が止まったまま、温もりもあって息遣いまで感じる。こんなにリアルなのに幽霊だと言われてもにわかには信じられないな。
「うふふ。うふふ。ほらしこしこ。しこしこ」
硬くなった肉棒をねちっこくゆっくりと上下に擦られて、今までにないくらい極上の気持ちよさを感じてしまった。抵抗しようにもなぜだか身体が彼女を受け入れてしまっている。
「ぅぐ…」
「ほらあ。しこしこ」
「ここはどうかな?」
一言主さんの指が裏筋を責める。
「はぅっ!?」
ビクンッ
びーんと勃起おちんちんが反り返って身体の奥底でマグマが畝っているのが自分でも解った。強制的に射精させられそうだ。こうして部室で男を捕まえて射精させるのか。円頓寺は虜になって何度も足繁く通うまでになってしまったのだ。同じ鉄は踏めない…。
「こっちのほうはどうかなあ?」
一言主さんは空いている左手で僕の乳首を摘んだ。
「ひぐっ?」
「女装をするなら乳首の開発は必須だものねえ。ほら、こりこりっこりこりっ。うふふ。しっかり育てないと」
こりこりと乳首を捏ね繰り回してくる。僕は全身がガクガクと震えだした。
「…あ、…あぁ。うぐ。あああっ」
声を抑えようと思っても漏れてしまう。こりこりとしこしこを繰り返されて快楽が全身を襲っていた。おまけに金縛りみたいに身体が言うことを聞かないのだ。
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