「しょーがないのねぇー。ほうらっ」
バッチーンッ!
一際痛そうな音が中から響いてきた。
「はぁぉぉん♡」
びくっ
びくびくっ
ドピュッ!
「あらあら♡」
ドピュピュッ
ピュピュピュっっっ
「あらぁ、たいへーん。たっくさんお漏らししちゃった♡ うわうわ射精(で)てる射精(で)てる。女子にお尻叩かれてただけなのに、ぴゅっぴゅ射精(だ)しちゃったのね~。情けなぁい」
「ぁぉぉ…♡」
ピュッピュッ
なんだろう? 中で何が起こっているんだろうか。物凄く不穏な感じだ。今ここで踏み込むのは何か無粋というか、『良くない』気がする。
どうすれば… 判断ができない。
「ほら、おまけのもう一発」
バッチーン!
「あぉぉん♡ ぐぬぅ…………」
ドピュ
やはりこれ以上はまずいか。
コンコンコンコンッ
「すいません! あの… 生徒会です。ちょっとお話を伺いたくて。開けてもらえますか」
しかし生徒会に入ってしまった使命感のようなものに僕は突き動かされて身体が勝手に動いていた。気づいたらドアを思い切りノックしていたのだ。生徒会の一員でなければこんなこと絶対にしていなかった。
「誰かいないんですか!」
中の様子は計り知れない。まるで反応がないのだ。もう先程の声も聞こえてこない。突然のノックに驚いているのだろう。
「強制的に開けさせてもらいますよ! いいですね!?」
どんどんどんどんっとドアノックを激しくして僕の存在を強めに知らせる。だがまったく反応がない。もう踏み込むしかない。
「入ります!」
カードキーをかざしてドアロックを解除する。女子水泳部の部室に僕は踏み込んだ。
「圓頓寺さん!? …… え…?」
ドアを開けるとそこには誰もいなかった。
「!?」
言葉を失う。静寂だ。静寂が部室内を包み込んでいた。
今まで誰かいた気配もない。シーンと静まり返って怒鳴り込んできた僕がバカみたいに映る。これはいったい…。
奥行きのある12畳ほどの広さ。着替えのためのロッカーにベンチ、成績を記した書類に大会のポスターやなんかが壁に貼り出されている。他には扇風機とか筋トレ用の鉄アレイとか…。特に隠れられるようなスペースなんてなかった。
ロッカーは二段式だから人が大人が入れるようなスペースはないし、天井や床も入り込めるようなところはないし…。
窓から飛び降りたとか? しかしそれなら窓の鍵がかかっているのはおかしい。飛び降りた後に閉められないだろう。
圓頓寺と声がしていた女子生徒はどこだ? 二人とも忽然と消えてしまった。
「うそでしょ…?」
もう一度部屋を見渡して隠れられそうなところがないか確認だ。少し歩いて壁、天井、床を見て回る。
「ん?」
床に何か白いものが…。
屈み込んでそれがなんなのかを見ようと思った。首から下げたスマホを構えて。しかし近づいて見るまでもなく臭いで解ってしまう。
「ぅ、げ…」
これは男ならお馴染みの毎日顔を合わせている精子! まだ新しいみたいだ…。
コメント