「それじゃあ試しにちょっとパンツでも脱いでみようかな… です… わ?」
僕は勇猛可憐な声を出して意を決していた。
これが彼女の求めている答えのハズだし、僕としてもすべてを吐き出してしまったほうが楽になれると思った。
「ま、何をするかしっかり見ててやるから。それがちゃんと償いになればいいけどな。早くしろ」
正しく制服を着こなした、素直な黒髪で優しい目をした彼女の口調はギャップが天と地ほどもある。
「いいんですよね…?」
「お嬢次第だ」
唯々野さんは腕組みをしながら軽く戸にもたれて鋭い目線を向けてきた。
僕はパニックに陥っている。僕の秘密を自ら積極的に暴露する必要なんて実はないはずだ。でも彼女のこの変わりようにドギマギして思考回路がショートしていたのは確実。
僕はスカートの中に手を突っ込んで女性用の下着に手をかけた。
「ふぅふぅ…」
「……」
女子にジッと見られながら裸になるなどとは考えたこともなかった。純粋な興味だけで女装はしたけれども、今まで女子との接点がなかった僕がこんなことになるなんて…。
下着を下ろして足首から引き抜いた。
「ふぅ… ふぅ…」
「それだけか?」
「ぁあ、あの…」
僕は下着を小さく折りたたんで便器の蓋の上に置く。
「その… ボク… ワタシはあのとき唯々野さんのスカートの下を見てしまいました。事故とは言え秘密を握って… はぁはぁ… しまったのは間違いありません」
スカートの裾をたくし上げていく。
「はぁはぁ…」
「それで?」
「そのワタシの秘密も見せますから、これでオアイコということで…」
「そんなの大した秘密とは言え…」
スカートを上げきったところで唯々野さんの動きが止まった。
「こ、これは…」
「どうでしょう…? ですわ?」
半ば強制的に僕は唯々野さんと同じノーパンになった。その姿を見せつけるだけで唯々野さんの秘密と釣り合いが取れるとは思わない。じゃあどうすれば同等になれるのか。
「これは… 驚いたぜ…… チンポコがぶら下がってるなんてよ…」
そう、男子であるということを明かすしか考えつかなかったのだ。
「あのぅ恥ずかしいのでもういいですか?」
スカートを下ろす。僕が唯々野さんのノーパン下半身を見たのも一瞬だ。これなら罪滅ぼしになるだろうと考えた。
「クックックッ… 傑作だな。まさか男子とは…。でもどうだかな。昨今じゃコスプレなんか珍しくもないぜ。男の化粧だって変じゃない。女装趣味くらいじゃな…」
「ぇと…… どうすれば…」
「ウチのお嬢のほうが、お前よか“より”変質者だぜ!」
「!?」
確かに女装も市民権を得てきた気がする。僕が化粧道具や服を入手できるくらいだ。それに比べると唯々野さんの趣味はかなりマイノリティなのかも知れない。
「だろ?」
「へ?」
「ま、こんな程度なら釣り合いは取れねぇな。お嬢のほうが上級の変態だ」
「いや、そんな、ドヤ顔で言われてもですわ…」
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