復讐の為に鐘は鳴る
【 閑話:花売りの少女(夜落つ蛾) 】
中継ぎの街ラスニア中級宿屋二階。
薄暗い部屋の木製テーブルには柳編みの花篭と三つの銀グラス、木蝋用の燭台が置かれていた。
銀グラスに入った二十七枚の小銀貨は、南方地帯の有力貴族に「効果抜群」と人気の媚薬液にどっぷり浸っている。媚薬液の紅色と小銀貨の銀色は、木蝋の灯火に鈍い光を反射させていた。
この遊び──『花遊び』も五度目だ。
中原学の性格的に花売りの子供に“ハマる”のはわかる。でも、どうせ遊ぶのなら俺は普通に高級娼館に通いたい。
「おい、中野ぉ見ろよ。これで三枚目だぜ?」
身分を隠して街人の服を着る俺たち。ベッドに座る花売りの子供──フルナは、素(す)っ裸(ぱ)で両足を開いていた。
「よし、もう一枚まんこに小銀貨挿れてみようぜ? フルナ、今どんな感じだ?」
「……ぁ、お、お腹の膣内(なか)でぇ、カ、カチカチ鳴ってぇ……あ、あぁ……ンっンっ」
「はは、もう媚薬効いてるな。まんこ気持ちいいだろ? ちっさい乳首も勃起してンぞ?」
それを確かめるように乳首を触ると「ンンぁ」と思わず吐息を漏らす。フルナは俺たちと同じ黄色(おうしょく)の肌の下腹部も撫でて、膣内(なか)に挿入っている小銀貨を確認しているようだった。
「……あぁ、は、はいぃ……ンっ、膣内(なか)ぁ……き、気持ちいいぃ……です。あっ、はぁ……あンっ」
「自分の指でもっと奥まで挿れてみろよ。次ぃ挿入らないだろ?」
「──あ、はぁ……ンンぅ、ンぁ、はぁ……はぁ、はいっ」
あそこに挿入っている分の小銀貨は夜の花売り──フルナを一晩買った代金になる。南方地帯の夜の花売り──子供の身売りの相場は小銅貨一枚から二枚、多くても三枚。だからフルナは必死だ。小銀貨なんて今日、生まれて初めて見たらしい。
「──ンンっ……はぁ、あっ、ああぁ……ふぁ、あぁ、お、奥にぃ……挿入って……っ」
まだ陰毛も生えてないようなあそこに、ぶじゅぶじゅと中指が押し込まれる。ベッドを濡らすのは媚薬と混ざったフルナの愛液。
失禁しているような光景でも、フルナにはもう羞恥心はないようだった。
「自分の指だけでも気持ちいいだろ? 良かったなフルナ、こんな気持ちいい思いして金までもらえンだぞ?」
「……ンン、はぁ、はいぃ……う、嬉しいです。ンはぁ……あ、き、気持ちいいぃ……ああぁ、ここ、ここぉ気持ちいいぃ……ンはぁ……はぁ……っ」
「ここじゃねぇーよ。おまんこだろフルナ。フルナの子供まんこ気持ちいい、だろ?」
「──あぁ……はい、お、おまんこぉ……ンあぁ、フルナの子供まんこ気持ちいいぃ……です、あンっ」
「はは、やっぱり貴族好みの媚薬は子供には効果絶大だな。こいつ酔っ払いみてぇーだよ、なぁ、中野ぉ」
子供用の媚薬なんてないからな。
ヤバいくらい感度も跳ね上がっているんだろう。
「お前も酔っ払いだろ」
「ははははは! 違ぇーねぇ! 中野ぉ、俺の酒と小銀貨くれぇ」
葡萄酒の入った銀グラスと小銀貨の入った銀グラスを、床に胡座を掻いている中原に手渡す。中原は葡萄酒を飲みながら、小銀貨をもう一枚フルナのあそこに押し込んだ。
「──あああ! ンぁ……あぁ、フレッドさんの指ぃ気持ちいいですぅ……ンぁ、ああ! ぬ、抜かないでぇ……っ」
「はは、俺の指ぃ気持ちいいか? ……あれ? 俺がフレッドだっけ?」
偽名の代名詞らしい。ハウルは俺、フレッドは中原だとさ。
「まぁいいや。ああ、フルナのまんこン膣内(なか)ぁ温(あった)けー……けど、小銀貨邪魔だな。フルナ、小銀貨どんなふうに挿入ってるか、まんこ開いて見せてみろ」
「……ンっ、ああぁ、はい……こぉ、こう……ですか?」
太ももの下から両手を伸ばして、フルナはまだ完全に閉じている未成熟なわれめを広げる。椅子に座っている俺の眼にも、フルナの膣内(なか)にある無機質な小銀貨が見えた。
そんなに奥には挿入っていないから、膣圧で押し出されそうだった。
「はは、濡れまくりのまんこの膣内(なか)に挿入ってる異物ってな、変な感じだなぁーおい」
「じゃあ止めろよ」
「じゃあこうすンだよ」
銀グラスの媚薬液に浸した指をフルナのクリトリスに押し当てると、中原は乱暴に指を左右に動かした。
「──ああ! あっ……あ、あぁ……そこぉ……そ、そこダメぇフレッドさんんぅ……っ」
「充血してこりこりしてるぜ? フルナのクリ。煮豆みてぇーだ」
「──ンあ! ダメぇ……あ、ダメぇ……フレッドさんんぅ……そこはダメぇ……っ」
普通なら痛いだろうけど、効き過ぎている媚薬の効果でもうなにをしても感じてしまうフルナは、われめを広げたまま「ダメぇ……っ」と言いつつも、自分で腰を動かしていた。「あンン!」と仰け反る背筋。身体はベッドに倒れそうになる。
「遊ばれ慣れてるだろフルナ? 子供とは思えねぇー大きさのクリだぜ?」
「──ンンぁああ! そこはぁ……あっ、ダぁ……メぇ、ダメぇ……あっ、んあっあっ」
「駄目ってなによ? 子供まんこから本気汁溢れ出てンぞ。気持ちいいなら気持ちいいって言えよ」
「あっ、んあぁ……気持ちいいっ、気持ちっ……いいけどぉ……フレッドさん、ひ、引っ張ったらヤぁ……ヤぁ……あ、あ、あっ」
媚薬を塗り込んでから、クリトリスを引っ張る中原。フルナは痛いからでも伸びたままになるクリトリスを気にしているわけでもなく、強すぎる感度に恐怖心を抱いているようだった。それでも──。
「ああっ……はぁ、あっ、あ、ンあぁ……ふぁ……んっ、んん、はぁ……ああっ、ああっ」
フルナの膣内(なか)には溢れるほどの媚薬がたっぷり。乳首にも肛門の中にも塗り込まれている。尻を叩かれても頬を叩かれても感じてしまう今のフルナの感覚は、恐怖心もすぐに塗り替えられる状態だ。
でもフルナの恐怖心は感度だけにあるわけでもなく──。
「あ、あぁ……あっ、もうダメぇ……フレッドさんっ、ン、ンぁ……わ、わたしぃ……っ」
「お! またか? んじゃあ、フルナの大好きな乳首も転がしてやるよ。そのまま、まんこ広げてろよ」
中原はクリトリスを弄りながら、フルナの乳首にも手を伸ばす。あそこの膣内(なか)にある小銀貨にも感じているだろうから、さっきもやった三点責めだ。
叫び声にも似た「ンあああぁ……!」という喘ぎ声を上げるフルナの口は、もう塞がることなくよだれを垂れ流して、あそこを広げたままの腰を浮かばせる。
「──ふぁ! ンああダメぇ……ダぁ……メ、絶頂(イ)っ……絶頂(イ)ちゃ、あっ、あぅ……絶頂(イ)く……うっ」
「お花はいかがですか?」と部屋の扉をノックしてから、通算三度目の絶頂(アクメ)。
背中からベッドに倒れ込んだフルナは、もうあそこに力を込められない。膣内(なか)に挿入っていた小銀貨四枚は、ぷしゅぷしゅと吹き出した潮と一緒に、コツンコツンと床に飛び散った。
「あははは! フルナぁ……また最初からやり直しだなぁ……ははっ」
フルナは絶頂(アクメ)にぴくぴくと痙攣しながらも、意識は床に転がった小銀貨にあるみたいだった。
フルナの身売りの代金は膣内(なか)に挿入っている分だけだ。小銀貨を飛び散らした今のフルナに支払う代金はないということになる。
「ほらフルナ、朝になっちまうぞ? 早く小銀貨拾わないと。ははっ」
絶頂(イ)ったばかりでも、子供のフルナにはこの媚薬は強力すぎて、身体を動かすだけでも膣内(なか)を刺激する。それでもフルナは「はぁ……はぁ……」と熱い息を漏らしながら、芋虫のようにベッドを這い下りて、床に散らばっている潮に塗(まみ)れた小銀貨を震える手で拾った。
そして、また足を開いて膣内(なか)に挿入れ直す。
また、ぷしゅっと残りの潮が吹き出した。
「……あ、はぁ……ンっ、こ、小銀貨ぁ……お、おまんこに、はぁ……挿入りました……ンンぁ……フレッドさんぅ……っ」
「偉いなフルナは。でもそいつはもう媚薬ついてないから、銀グラスに入った小銀貨を挿入れなきゃ駄目だぞ」
「……あ、はぁ……はい、フレッドさん……ンンっ、あっ」
床に尻餅をついたまま、あそこから小銀貨四枚を取り出し始めるフルナ。指先で弾いた小銀貨はコツンと床に転がって円を描く。
「はは、一生懸命まんこ弄ってよー……オナってるみたいだ。やっぱり女中よりも街娘のほうが可愛いよなー? なぁ、中野ぉ……じゃなくてフレッド?」
「フレッドはお前だ」
「あー……駄目だ。フルナのオナニー見てたら、まんこに挿れたくなってきた。危ないか?」
「挿れてもいいけど、一生俺に近寄るなよ? フレッド」
身売りの子供は漏れなく病気持ちというのは常識らしい。表街の街娘さえ性病に罹っているそうだ。安全に女遊びしようと思ったら、高級娼館に通うしかないみたいだけど──。
「ンンぁ……はぁ……ンあ、あん、んぅ……うぅ、あ、あと、あと一個ぉ……っ」
フルナのあそこから弾け出る小銀貨を見て思う。
だから考え出されたのだろう、この『花遊び』は、本当は小銅貨を使うらしい。
茶色い小銅貨を花の“種”に見立て、“土”に見立てた女のあそこに埋める。あるいは女のあそこを“花”に見立てて、今のフルナみたいに“種”を弾き出させるのが、夜の花売り独特の『花遊び』だ。
誰が考えたのか知らないけど──。
「ちんぽしゃぶらせるのも駄目か?」
中原みたいな奴には大人気だ。
「口からも感染するって言ってるだろ」
革ベルトを外し、ズボンを脱いで、皮被りのちんぽを取り出す中原に忠告する。
「フルナだって俺のちんぽ欲しいよなぁ」
最後の小銀貨を膣内(なか)から取り出し、中原のちんぽをじっと見詰めて「は、はい……っ」と生唾を飲み込むフルナ。
媚薬の影響で空っぽになった膣内(なか)は新たに埋めるものを探しているらしい。
「おいフルナ。お前は小銀貨あそこに挿れないと儲からないからな。フレッドはお前の膣内(なか)に小銀貨 挿入ってなきゃ、本当に小銅貨一枚払わない奴だぞ?」
「おいおい、バラすなよ」
「……え? あ、あ、あっ」
俺の言葉にフルナは慌てふためきながら、銀グラスの小銀貨を自分の膣内(なか)に挿れ始めた。急いでいるせいか、奥まで押し込まない小銀貨は挿れるたびにコツンと飛び出る。
それをまた急々と拾って膣内(なか)に押し込むフルナ。狼狽える姿は中原のツボにハマっているようだ。
「おー……堪らねぇーなぁ」
息を吹き掛けただけでも絶頂(イ)きそうなほど敏感になってるフルナのあそこは、媚薬に濡れた指先と小銀貨を膣内(なか)に挿れるたびに、愛液の糸を引き延ばしている。
フルナ自身も、また絶頂すると苦労して挿れた小銀貨を潮と一緒に吹き出してしまうから、唇を真横に仕舞って快感に堪えているようだった。
「ああー……もう我慢できね、まんこに挿れてぇーよ。娼館に行くか……」
中原はフルナの前に立って「一発抜いてから」とちんぽをしごき始める。フルナは勃起ちんぽに見入りながら小銀貨を挿れるのを忘れて、あそこに挿入っている自分の指をくちゅくちゅと動かした。
「はぁ……はぁ……ンあぁ……ああ! あ、あ、フレッドさんのおちんぽぉ……っ」
「おいフルナ、口ぃ開けろ、口。お前らの食いモンよりよっぽど栄養あるモン飲ませてやるよ。一滴も零すなよ、零したら小銀貨払わねぇーからな」
「──え? あ、ンあ、ンあーん」
「そのまま馬鹿みたいに口ぃ開けてろ、たっぷり俺のぉ……おわ、で、射精(で)る……っ」
馬鹿みたいに早漏の中原は、水みたいな先走り汁をフルナの顔に撒き散らしながら、皮被りちんぽを握る手を無我夢中に上下させた。
今度は泥みたいな塊の精液をフルナの口に向けて、どぷっと吐き出す──。
「ンああー……あンっ、ンくうぅ……っ」
ちんぽの先端に顔を近づけたフルナは、本当に一滴も零さないように大きく開けた口の中に中原の濃い精液を溜めていく。
口内は舌も見えないくらい濁った白に犯されていった。
「ンくぅ……ンくぅ……っ」
射精の終わった中原のちんぽを見届けてからフルナは口を閉じ、顔を上げて、ごくごくと咽喉を鳴らす。
「──ふぅ……お、お、おお! いい飲みっぷりだフルナ。俺の精子、美味いだろ?」
「ンくぅ……んはぁ……は、はい、フレッドさんの精子……美味しかったです」
そう答えるフルナの唇は、油を飲んだかのように光っていた。
「俺たち今から娼館に行くけどよ、まんこに小銀貨、何枚くらい挿入った? 見せてみろ」
「──あっ」
ベッドに座り直して足を開き、あそこを広げるフルナ。膣内(なか)の小銀貨は一枚だけ。中原の精子を飲むのに必死になり、膣圧で押し出された床の小銀貨に気づかなかったらしい。
「はは、残念だったなフルナ」
「……で、でも、一枚だけでも……」
表街と裏街の中間に住む身売りの子供には大金だ。
「──ンああ!」
膣内(なか)の小銀貨を指で押し込み、もう一枚だけ銀グラスの小銀貨を挿れる中原。
「心づけだ。ここ片しとけよ」
「──は、はいっ。ありがとうございますっ」
花売りのフルナは満面の笑顔を花のように咲かせた。
◇◇◇
「くっそ! 忘れてた!」
ラスニアの街の大通り。
噴水の縁(へり)に座って手を洗う中原。皮膚を削ぎ落とす勢いだった。
中原は最後にフルナの膣内(なか)に指を挿れたけれど、王都の学士からは爪の間からでも性病は感染するものだと習っていた。
「だから何度も言ってるだろ。もう『花遊び』は止めようぜ」
「ちっ、性病さえなければ……」
俺も中原も隣の部屋に隠していた軽装仕様の騎士甲冑を纏っている。ラスニアの街人は俺たちの所属する聖教騎士団 藤雲雀(ふじひばり)の悪評を知っているから、誰も近寄ろうともしない。見向きもせずに素通りだ。
「あと花売りに小銀貨を渡すなよ。子供に大金渡しても危ない目に遭うだけだって雅も言ってただろ」
「なんで長谷川(ブタ)の飼い主の言うこと聞かなきゃなんねぇーんだよ」
「石蕗(つわぶき)も功績上げたって噂されてるし、そろそろ俺たちも働くかー?」
「なんだよ、娼館に行かねぇーのかよ?」
「いや、行くけどさ」
俺は子供に興味にはないけど、娼婦は別物だ。
とくに下級貴族も相手にする高級娼館の娼婦は、「自慢になるから」と永遠の聖教騎士に抱かれたがる。だから、いつも代金以上のことをしてくれる。俺にとっては娼婦様々だ。
「この性病も魔女の仕業か?」
「お前の性癖の仕業だよ」
南方地帯で猛威を振るっている流行病(はやりやまい)──エル腹膜炎と二十日風邪は、十二人委員会によって魔女の災いと認定された。俺たち藤雲雀(ふじひばり)も忙しくなりそうだ。
今のうちに英気を養おう。
「射精(だ)すモン射精(だ)して、身体拭いてもらって、さっさと寝ちまおう。中原」
二人並んで娼館に向かう。
「明日から大森林の探索だと思うとうんざりするぜ」
中原の愚痴は街の喧騒に消える。
娼館入り口の両側に立てられた火台の炎は、夜の街並みに俺たちの影を延ばしていた──。
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