復讐の為に鐘は鳴る-【 閑話:さよならティファニー(前編) 】

復讐の為に鐘は鳴る

復讐の為に鐘は鳴る

【 閑話:さよならティファニー(前編) 】

 奇妙な肌寒さに目覚めて最初に眼にしたものは、縛られた両手でした。古い椅子に麻縄を巻かれています。両足も。

 咄嗟に叫び声を上げなかったのは、服を着ていなかったから。

 わたしは裸でした。身動(みじろ)ぎ一つもできないまま、下着も着けていない格好でした。

 場所は裏通りの空き家。埃だらけで木戸もないから、裏街に近いことはわかります。夜の喧騒の中に混じる女の絶叫と男の馬鹿笑いは、密造酒を売る闇酒場のもの。そして──これからのわたしのもの。

「眼ぇ覚めたか?」

 空き家なのにベッドだけは新しい。藁筵(わらむしろ)を敷いたそのベッドに腰掛けてるのは、麦酒の入った木器を傾ける若い男です。

 歳は二十くらい? 十八のわたしと変わらない背格好だけど、頬には古い刺し傷を残していて、眼つきは裏稼業のそれだとわかるほど鋭いものでした。

 わたしの心臓は悲鳴を上げています。でも、声に出したら駄目。逆らったら首を切られて終わり。床に突き刺さったナイフは「叫んだら殺す」という無言の警告。逆を言うのなら、騒いだり抵抗したりしなければ殺しはしないという約束でもあります。

 この約束には縋ってもいい。わたしを殺すつもりなら、寝ている間に犯されて首を切られてるからです。強姦目的なら、最悪でも殺されはしない。裏稼業に犯された表街の女は、それを絶対に口外しないですから。

 火遊び娘だって、強姦された自分のことを自慢話にしたりはしません。

「確認だ」

 立ち上がって男は言いました。口からは大麻の臭い。

「お前は革細工屋の娘……エミレッタで間違いないな?」

「は、はい」

 頷きながら答えます。

 言い淀んではいけない。この男(ひと)を苛立たせてはいけない。大麻を吸っていい気分になっているのなら、心地いいままでいてもらわないと……。

 でも、おかしいな。どうして家(うち)の店とわたしの名前を知ってるんだろう?

「俺たちはこれからお前を犯すが、黙って言うこと聞いてりゃ殺しはしない。どうせ処女じゃねぇーんだろう? だったら他の男を知っといても損はしねぇーしな」

 この男(ひと)……わたしのこと処女じゃないって知ってるの? 寝てる間に確かめた? あそこに……そんな違和感ないけど……。

 だけど、殺さないと言ってもらえました。今、一番大事なのは命です。そう一安心すると、木棚の上に放り投げられているわたしの服を見つけました。

 長袖に手編みの肩掛け。スカートに絹地の腰帯……それに下着も。蝋燭だけの暗い部屋だけど、視界には入っていたのに、今まで意識できていなかった自分の服です。

 服は破れてない。ナイフで引き裂かれてもいない。普通に脱がされただけ。それは、服を着て帰らせてもらえるということです。きっと、朝陽の昇る頃には……。

 じゃあ、朝帰りとそんなに変わらない。

 お父さんに見つからないように裏口から部屋に戻って寝た振りしていれば、いつもと一緒。いつもの暮らしに戻れる。いつもの楽しい毎日に帰れる。

「こいつを飲め」

 木器に入ってる……水で薄めてない黄金色(こがねいろ)の麦酒。この男(ひと)お金を持ってるのかな。見るからに質のいい麦酒です。

 手足を縛られたまま、麦酒を飲ませてもらいました。渇いてた咽喉にするすると入ります。やっぱりこれ……出涸らしの麦酒を果物の絞り汁で誤魔化したものじゃない。

 部屋のあちこちにある香炉から立ち上り始めた煙は、大麻で間違いないと思います。それも、麦酒と一緒で質のいい大麻です。大麻は初めてじゃないからわかります。

 わたしの知ってる大麻は混ざり物だらけ。林檎の小枝に紅茶の葉。菖蒲(あやめ)の根に鴨の脂(あぶら)。混ざり物もいい匂いを放ちますが、大麻は多幸感あってこそ。

 十四の頃から今まで五人の男と寝て、その内の二人は大麻好きでした。最初は肺の中に煙を入れるのに抵抗感もありましたけど、高揚した気分は天にも昇るような感覚で楽しめました。

 そう、大麻で得られる感覚は全部楽しい。

 麦酒も葡萄酒も果実酒も美味しくなるし、笹笛の音も木笛の音も楽しくなる。乾煎りした雛豆も燻製肉も美味しくなるし、ジョンとティファニーの裸踊りも楽しくなる。

 全部楽しい馬鹿騒ぎだけど、それも婚礼まで。

 ジョンと結婚したら、友達と馬鹿騒ぎなんてできなくなるから。

「これでいいか……」

 部屋に充満する大麻臭を確認して、頬傷(ほほきず)の男(ひと)は言います。

 紫色に見える煙は錯覚で、水流みたいに形あるように見えるのも錯覚。そして、見ていて楽しいものじゃないのに、不自然に込み上がってくる微笑みも、大麻によるもの。裸なのに笑いを堪えている自分も、なんだか場違いで面白い……。

「縄を解く。抵抗したら……言わなくてもわかるよな?」

「無駄なことはしません。裸ですから」

 木棚の上の服。床に刺さったナイフ。鍵の掛けられた扉。縛られてなくても、どれも無意味です。

 服を着る暇なんてない。ナイフなんて扱えない。鍵は外せて扉は開けられるけど、ここは裏街付近の……どの辺りだろう? 裸で表通りまで走る間に、五回は他の男たちに捕らえられて犯される。

 どうせ犯されるのなら、無駄なことはしない。どうせ処女じゃないし、結婚前に裏稼業と寝るものいい。

 大切な純潔はジョンに捧げました。だったらもう、他の男と何回寝ようと同じです。

 寡黙で精悍な顔つきのこの男(ひと)は、裏稼業にしては清潔そうですし、この空き家は……きっと強姦の根城にしてる……手篭めの篭。整えられたベッドは、そう告げているのも一緒。灯された蝋燭は三つで、その中に渦巻いてるのは大麻の煙だけ。血の跡は一滴もありません。

 強姦は初めて。無理やりっていうの……一度はされてみたかったし……ちょっと楽しみです……。

「なに笑ってる?」

「可笑しなこと考えてます」

「女はいつも妙なことを考える。先日襲った女もそうだったな」

「妙なこと? どんなふうに襲ったんですか?」

「俺たちぁ悪酔いしてた。いつもは近寄らない表通りで襲う女を捜してた。そしたら眼をつけた女が偶然にも路地に入って来てな、小便を始めた。あとはいつも通りだ。連れは後ろから女を羽交い締め、俺は服を脱がす。そうすりゃ、もう大声は出せない。素っ裸にひん剥いたら、連れは羽交い締めにしたまま女の乳首を弄って、俺は足首を持ち上げる。強姦と言っても、乳首を弄られておまんこ広げてりゃ、そのうち女は濡れるからな。濡れたら、それを口実に逸物(もの)を挿れる。でも、俺は動かない。挿れたままジッとしてる。そうすると女のほうから腰をくねらせて懇願を始める。突いて下さいってな。自慢じゃねぇーが、俺たちゃ上手い。もしも亭主持ちの人妻なら夢中になって喘ぐだろう。女の扱いは亭主と比べるまでもねぇーわけだ」

「身持ちの堅い貞淑な妻なんて、男の幻想ですからね」

「わかってるじゃねぇーか」

 貞淑な妻もいるにはいます。しかし例外なく、身持ちの堅い妻は頭も硬いのです。

「わたしで楽しんでもらえるかどうか……」

「言ったろう? 俺たちゃ上手いんだ」

「期待してます。でも……俺たちって?」

 そう尋ねた直後に「ドスンッ」と、扉の向こうに物を落とす音が聴こえました。落としたのではなく、乱暴に積み荷を降ろしたような音です。なんだろうと思っていたら、

「開けてくれぇ! 飲み物に食い物ぉ持って来たぞぉ!」

「俺たちってのは、俺だけじゃねぇーってことだ」

 頬傷の男(ひと)は笑うように答えて、鍵を外します。木箱を抱えて現れたのは、髭と脂肪を蓄えた熊のように大きな男(ひと)でした。

 子供の頃に見た大道芸人の大熊曲芸を思い出し、わたしは唇を結んで笑いを堪えます。頬傷の男(ひと)は鞭を持った調教師。大男はご褒美に飴玉を貰える赤毛の人喰い熊……。

「大麻が効いてンな、お嬢ちゃんよ」

「服を着た熊を見たのは初めてです」

「月のない夜は小兎も丸裸だ。お嬢ちゃんに限らずな」

 新月は浮気月。月のない闇夜は森の端(はた)。妊娠の心配のない新月の晩は、裸で過ごす男女は多いのです。名前も知らない行きずりの相手でも。

「さっそく始めるか」

「おいおい、食う物食ってからじゃねぇーのか? なんの為に買い出しさせたンだよ」

「仕事だ。それにエミレッタは待ち切れないらしい」

 突然呼ばれた自分の名前に驚きました。木箱の中の葡萄酒と若鶏の丸焼きは、確かに待ち切れないほど美味しそうですが、そういう意味ではないようです。

 頬傷の男(ひと)は、呆けているわたしの真横に立ち、

「垂れてるぞ」

 と太ももに触れました。

 指で拭き取られた大量の愛蜜を見て、わたしの顔は紅潮し、その顔のまま人差し指を咥えさせられました。不思議とそれは、頬傷の男(ひと)の逸物(もの)みたいに感じられて、わたしは自然と舌を使い始めます。

 頬傷の男(ひと)の手首を両手に掴み、自分の愛蜜のついた指を舐め、吸いつき、咽喉の奥まで入れては出して、ちゅぱちゅぱと音を立てました。できるだけ品のないように。できるだけ、その姿を見てもらえるように。

 熊の男(ひと)はわたしから眼を離そうとはしませんでした。熊に蜜はご馳走です。蜜を垂らすわたしは穴の空いた蜜蜂の巣。膣(なか)いっぱいに愛蜜を溜めています。それを掻き出すにはやはり指ではなく……と考えていたら、

「ぶははっ! お嬢ちゃんは好き者かっ?」

 熊の男(ひと)は大笑いして、わたしを後ろから抱き締めました。

 お尻に硬いものを感じ、「あっ」と仰け反ったわたしの胸の先に、熊の男(ひと)は太い指を乗せます。

 もう勃起してしまっている乳首は、その卑猥な形を隠すほど乳房に押し込まれて、大麻の影響なのか……あまりの快感に膝を折ってしまいそうになります。わたしは熊の男(ひと)に体重を──甘えるように背を預けました。

 熊の男(ひと)との身長差は、頭一つと半分ほど。頬傷の男(ひと)との身長差は頭一つと少し。そんな二人の男(ひと)に挟まれているわたしは、一切れの布も纏っていない全裸の娘。

 身体は、これ以上ないほど火照っています。三人で寝るのは初めて。二人の男に同時に抱かれるのは初めて。それも、わたしを強姦しようとしている二人にです。

「乳もでかいし、乳首も物欲しそうにおっ勃ってるぞ? お嬢ちゃんよ」

 乱暴に乳首をつままれても、快感しかありません。野太い指に乳首を弄ばれていると思うと、背筋に走るのはじんじんとした甘い痺れ。それは頭まで上ると今度は下って腰の辺りに溜まり、下腹部の奥を刺激するのです。

 もう駄目。立っていられない。瞼に力を入れられず、口の端から垂れるよだれも拭けず、預けた背中から、ずるずると滑って倒れそうでした。

 そのとき、頬傷の男(ひと)は「おっと」とわたしの両手首を掴み、左右に広げて、背後にいた熊の男(ひと)は開いた両脇から手を通しました。

「女の顔になってンな、お嬢ちゃん」

 鷲掴みにされる乳房。指の隙間から姿を見せる乳首。皮の厚いざらざらした手のひらで乳房を揉まれると、指の隙間の乳首も擦れて、もう呼吸の全部ははしたない喘ぎ声になり、自分でもわかるほど淫らな顔を晒してしまいます。

 誰にも見せたことのないその顔を、正面にいる頬傷の男(ひと)は笑みを浮かべて覗いていました。わたしの両手首を掴んだままで……。

 わたしは口吻を求めました。寂しいからです、唇が……。

 それに今さらですけど、自分だけ淫らな顔を晒しているのも恥ずかしい……。

「ベッドに行くか?」

 頷くしかないお誘いです。もう立っていられないから。わたしは乳房を──おっぱいを揉まれたまま、熊の男(ひと)に支えられている状態なのです。

 そして思わず「わ!」と声を上げてしまいました。頬傷の男(ひと)は膝を抱えて、熊の男(ひと)は両脇を抱えて、わたしを持ち上げたのです。まるで荷物を運ぶように。

 ぽたぽたとお尻から垂れる愛蜜が、ベッドまでの足跡を残しました。

 藁筵のベッドは香ります。男の汗に女の蜜。お酒の匂いに大麻臭。そして、木皿に立てられた一本の蝋燭は、三人の男女を映し出します。

 熊の男(ひと)は膝を立ててベッドに座り、その間にわたしは横たわっています。頭は熊の男(ひと)のお腹の上。枕のように。

 わたしの両脇は立てた膝に阻まれていて、開いた両腕を使うことはできません。熊の男(ひと)の両手はわたしのおっぱいの上ですから、完全に固定されています。

 頬傷の男(ひと)はわたしの股座(またぐら)に座りました。当然足は広がったまま、奥まで見えるおまんこを隠すこともできない……なにをされるにも一切抵抗のできない格好です。だから、さっきよりも興奮して、溢れ出る愛蜜に藁筵を汚してしまいます。

「柔らけぇー乳だな」

 ざらざらした肌触りの雄々しい手のひらで捏ね回されるおっぱい。下から持ち上げられて、横から押し潰されて、はみ出るように握られて……そんなふうに自由に形を変えるおっぱいを見ていると、顔もふしだらに蕩(とろ)け始めてしまいます。

「なぁ、お嬢ちゃん。この乳は誰に揉まれてたんだ? 婚約者にか?」

「あっ、はぁ……は、はい。ンっ、こ、婚約者にも……その前に知り合った人たちにも……はぁ……ンぁ」

「ンで、俺にも、か。一番上手かったのは誰だ? お嬢ちゃんの乳揉み」

「はあっ……あっ、マ、マイラーという……うぁ、あっ、人です。二番目につき合ってた……あっ。んぅ、で、でも……っ」

「でも?」

「く、熊さんが……一番上手ぅ……ンぁ、お、おっぱい気持ちいぃ……です。あはぁ……あっ、ざらざらした手でぇ……乱暴に揉まれるのぉ……好きぃ……ンああ、気持ちいいぃ……っ」

「ははっ。女ってモンをわかってねぇー勘違い野郎は多いからなぁ。少し激しいか? って思うくらいでいいんだよ。こうやって勃起乳首もつまんでなぁ」

「──ンはあぁ!」

 乳首をつまみ上げられると思います。動かせない両腕。だから弄ばれるおっぱいと乳首。感じてる顔も隠せないから、恥じらいも体裁もありません。

「こんなのはどうだ?」と笑う熊さんの二本の指が、わたしの口の中に入ってきます。指先に舌を絡めると、少しだけ口寂しさは薄れました。

 でも、本当に欲しいのは口吻。熊さんの分厚い唇と舌で、わたしの口を犯して欲しい……そう思っていると、

「ほら」

 よだれ塗(まみ)れの熊さんの指──二本の人差し指が、わたしの乳首をぴんぴんと弾きます。

「ンぁ! あはぁ……あ、ああっ! す、好きぃ……これ好きぃ熊さんぅ! ンぁ……乳首虐められるのぉ……好きぃ……ふぁああ!」

 上下に弾かれるこりこりに勃起した乳首。激しい快感に腰を浮かせて、悲鳴に似た甲高い嬌ぎ声を漏らしてしまうわたし。そんなわたしの痴態を眺めているのは──股座に座る頬傷の男(ひと)。

 足を広げて腰を浮かしているわたしの格好を──愛蜜の零れるわたしのおまんこを、頬傷の男(ひと)は扉の覗き窓から相手を確かめるように見ていました。

 そして、独り言のようにこう尋ねたのです。「本当に処女か……?」と。

 言葉で答える余裕はありませんでした。パン生地みたいにおっぱいを捏ね回す熊さんは、それに入れる干し葡萄のように乳首をつまんでは、ぴんぴんと弾いています。質問に答えようにも、言葉は嬌声にしかなりません。

 だから、わたしはもっと足を開きました。ぱっくりおまんこを広げて奥まで見てもらおうと。腰を高く上げて。純潔を捧げた証(あかし)として。

 ……なんて、そんな嘘を吐いていては、気持ちのいい今を逃してしまいます。本当は、ただ見て欲しいだけなのです。熊さんにおっぱいと乳首を弄ばれて善がり狂っているわたしの女を。

 結婚前に出来るだけ多くの男性を経験しておきたい欲しがりな女のおまんこを。

 こんな体験、結婚したあとでは絶対に望めませんから──。

「挿れるぞ?」

 部屋は大麻の煙で紫色。わたしは曲芸の熊さんに蜂蜜代わりのよだれをあげたり、逆によだれを飲ませてもらったり。

 熊さんのよだれは葡萄味。絡め合う舌も葡萄味。鼻息も口臭も葡萄味。ああ、酔っ払ってしまいそうです。

 調教師さんは見習いの頃、人喰い熊さんに襲われました。一命は取り留めたものの、右頬に大きな傷痕を残してしまいました。しかし、そういった悲劇も大熊曲芸の前口上になります。

 舞台に立って鞭を振る調教師さんは、もう一人前。赤毛の熊さんも御覧の通り、大玉転がしを披露します。拍手喝采よりも、ここに銅貨を投げ入れて下さい。そうです、ここに入れて下さい。そうです、ここに入れて下さい。そうです、ここに挿れて下さい。

 もっと奥まで挿れて下さい──。

「はぁ……ンぁ、あ、ああっ……やぁ、動いてぇ……はぁ、早くぅ奥まで突いてぇ……下さいぃ……おまんこの奥までぇ……ンぁ、ああ、早くぅ」

「欲しけりゃ自分で動かせよ」

 わたしは調教師さんの腰に両足を絡めて身体を引き寄せます。そして自分の腰を上下に動かせば、調教師さんの大きな逸物(もの)はお腹の膣(なか)で大暴れ。膣(なか)いっぱいに擦れ合って、一番奥にも届きます。

 コールよりも太い逸物(もの)。テットよりも長い逸物(もの)。マイラーよりも硬い逸物(もの)。ああ、今までの誰よりも、他の誰よりも──ずっと気持ちいいぃ。

 もっと突いて欲しい。もっと激しいのが欲しい。一番奥に食い込ませて欲しい。一番奥を突き抜いて欲しい。

「んあぁ、あはぁ、はぁ……あっ、ンああっ! こぉ……擦れてるっ! ンはぁ! 大っきいのぉ……奥にぃ……擦れてぇ……ふぁああ! ああ、おまんこ気持ちいいぃ……っ!」

「ははっ。お嬢ちゃん、調子出てきたな。俺は優しいぞ、俺にはなにをして欲しい?」

「あ、ああっ……し、舌ぁ……熊さんのぉ……んぁ、舌ぁ欲しいです。おっぱい揉みながらぁ……熊さんの太い舌ぁ……欲しいぃ……あっ、ふぁ!」

 わたしは雛鳥みたいに大口を開(あ)けて、舌を伸ばします。熊さんはちゅううぅ……と舌に吸いつき、そのまま口内に侵入して、歯茎の裏と頬の内側を丁寧に舐め回したあと、倍ほども大きさの違う舌と舌を絡ませ合いながら、わたしの咽喉によだれを流し入れてくれました。

 わたしもたっぷりのよだれを溜めてから、それを舌に乗せて、熊さんの口に送り込みます。熊さんは上なので、やはりちゅううぅ……とよだれと一緒に舌先に吸いつき、ごくごくと咽喉を鳴らします。

 唾液の交換は初めて。背徳的で癖になりそう。でも、結婚相手とはできそうもありません。

 上半身では舌を絡ませ合いながらも、熊さんはわたしのおっぱいを捏ね回し、乳首を引っ張り上げたり、押し込んだり。

 下半身では、さっきよりも膨張している調教師さんの逸物(もの)が、おまんこの一番奥を激しくも小刻みに突き上げて、わたしを限界にまで導き──。

 あっ、だめ。

「ンぁ、はぁ……あ、ああ! もう、だめぇ……もう絶頂きぃ……絶頂きそうっ。あっ、あはぁ……っ!」

「そうだ、盛大に絶頂っちまえ、お嬢ちゃん。どうせ朝まで続けるんだ。次は俺の逸物(モン)ぶち込んでやるよっ」

 ああ、そうか。朝まで終わるわけないのです。次は熊さんの逸物(もの)を味わえる。そう思うと、おまんこはもっと敏感になって、子宮まで溶け落ちるようでした。

 そういえば、熊さんの逸物(もの)も調教師さんの逸物(もの)も、まだ口に咥えていません。どんな味だろう? どんな匂いだろう? どんな舌触りだろう? 二本同時に舐めるのは未経験のわたし。お楽しみはまだ続いているのです──。

「しっかり締まってきたな。もう絶頂くのか?」

 絶頂を迎えるわたしは、調教師さんの逸物(もの)を肉壁で締め上げていました。だから膣(なか)の擦れ合いは激しい感度を与えていて、ぷしゅぷしゅと愛蜜を撒き散らしています。

 達する間際、絶叫を上げたわたしは──。

「あっ、ンはぁ……っ! も、もう、い、絶頂くぅ……やぁ、あっ……だめぇ……ンあ! あっ、絶頂くぅ! いっ……絶頂くぅ!」

 頭の中は真っ白。もう瞼を持ち上げられませんでした。身体はぴくぴく痙攣していて、息も絶え絶えに呼吸するのは部屋中を漂う大麻の煙。わたしは疲労も忘れて、ふらふら揺れる浮遊感に没頭していました。

 そこに聞こえる「次は俺だな」という熊さんの、どこか遠い笑い声。

 熊さんは調教師さんと場所を交替したようです。

 わたしは痙攣したままでした。到達して過敏になった身体は、まだ治まっていません。それでも熊さんはわたしの両足を持ち上げて、おまんこに宛がわれただけでわかるほど逞しい逸物(もの)を、ぐちゅぐちゅと音を立てて挿入しました。

「──ンぁ! あはぁ……あっ!」

 調教師さんの逸物(もの)よりも長いわけではありませんが、熊さんの逸物(もの)はその体格のように太いもののようです。むちむちと掻き分けられる肉壁は、満ち足りる悦びと一緒にそれを教えてくれて、わたしはまた軽い絶頂を迎えました。

「エミレッタ」

 調教師さんの呼び声に、重たい瞼を持ち上げます。目の前には血管の浮き出た猛り立つ逸物(もの)……湧き上がる唾液に渇いた唇は潤いを取り戻しました。わたしの両脇に膝を立てる調教師さんの逸物(もの)が、唇の届くところにあるのです。

 調教師さんの逸物(もの)は、わたしの愛蜜の匂いを放っています。そこで察しました。調教師さんは射精してない。わたしは絶頂かせてもらったのに。じゃあ、お口でご奉仕しないと。

 反り立って上を向いている逸物(もの)を両手に握ります。

 ごつごつした手触り。血管の脈動。手に張りつくような熱っぽい湿度。さっきまでわたしの膣(なか)に挿入っていた逸物(もの)。わたしに蕩(とろ)けるような快感を与えてくれた調教師さんの逸物(もの)。ああ、とっても愛おしい……。

 精子をパンパンに溜めている逸物(もの)を手繰り寄せて、亀頭に「ちゅ」っと口吻をします。唾液に濡らした唇で愛撫しながら亀頭を舐め回すと、舌先に我慢汁の塩気を感じました。

 膨れ上がったわたしの欲求は、次もその次もあるのだからと、咽喉を涸らします。もう飲みたいからです。わたしの膣(なか)に放つはずだった精子をお腹の中いっぱいにもらいたいからです。

 調教師さんも、そのご様子でした。わたしの咽喉の奥に精子を流し入れるように、張り詰めた逸物(もの)の先端──膨張した雁首を、唾液と我慢汁で濡れた唇を使って懸命に扱(しご)いています。

 使われている。おしゃぶりしながら恍惚とそう思うと、おまんこの感度もより一層増しました。

 頬傷の調教師さんと赤毛の熊さん。お口とおまんこ。二つの穴に挿れられて、同時に射精されたら……お腹も子宮も精子で満たされる。身体の中にたぷたぷする精子の水溜まり。お月様のない夜なのに妊娠するかも。

「俺の逸物(モン)はジョンよりもいいかぁ!」

 熊さんのごりごりした逸物(もの)は、わたしの膣(なか)を削るように擦っています。こんな太い逸物(もの)に慣れてしまったら、ジョンでは満足できなくなるかも知れません。

 わたしは言葉よりも先に、必死に腰を振って答えました。

「おお! いいってこったな!」

 ご満悦の熊さん。わたしも嬉しい……女冥利に尽きます。

「そろそろ出すぞ、エミレッタ。残さず飲め」

「んちゅ……ンぁ、は、はいっ」

 お口いっぱいの精子を想像してしまって、零れそうになる唾液をごくっと飲み込みます。

「俺のも膣(なか)にそそぎ入れてやるよ! 準備はいいか! お嬢ちゃん」

「ンあ、はぁ……はいぃ……っ! 熊さんの精子ぃ入れてぇ……いっぱい入れてぇ!」

 亀頭を舐め回しながら、唇で逸物(もの)を出し入れする上のおまんこ。腰を振りながら、膣(なか)に感じる太い逸物(もの)をぎゅううぅ……と締めつける下のおまんこ。

 その中に放たれる大量の精子は、二つの口から溢れ出て、わたしの顔も股間も溶けた牛脂を被ったように汚しました。

 身体を伝って裸体に塗(まみ)れるべとべとの精子は、蝋燭の灯火に鈍く光っています。指に糸引く精子を舐めると塩の味。調教師さんと熊さん……二人の精子を混ぜ合わせて舐めると男の味。

 ベットから立ち上がって全身の精子を舐めるわたしに、熊さんは「はっはっは!」と豪快に笑って、木器に入った麦酒を頭から被せました。

 髪に滴る麦酒は黄金色。調教師さんと熊さんはぬるぬるになったわたしの身体に手を這わせて、その手はお尻に。そしてお尻の隙間から股の間に。

 にゅるっとおまんこに挿入った調教師さんの中指は、わたしの一番好きなところを探り当てて穿(ほじく)り返し、熊さんは乳首を弄びながら、わたしの舌先を分厚い唇でちゅーちゅー。

 あれだけ出したのに、二人はまだ勃起したまま。わたしは前と後ろから責められながらも、勃起している二本の逸物(もの)を握って扱き始めます。

 そうです、夜はこれから。お楽しみはこれから。「やめて」と言っても終わらない。体力の限界まで続くのです。だってこれは──。

「もっと無理やり犯して下さい♡」

 強姦なのですから。

復讐の為に鐘は鳴る-【 閑話:さよならティファニー(後編) 】

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